ジャワ島の東側に浮かぶ、「神々の島」と称されるバリ島。人口は約312万人、先住民であるバリ人が大多数を占めています。ジャワ人や華人、そして豊かな生活を求める外国人も多く住んでいます。
この島の魅力は、島民の90%が信仰する“バリ・ヒンドゥ教”に基づいた伝統文化です。洗練された舞踊や絵画、供物や色とりどりの飾りと荘厳な宗教儀式は、訪れる者を魅了し続けています。
豊かな自然にも恵まれており、美しい曲線を描いているライステラスや渓谷、川、そして美しい海。様々なアクティビティも楽しめる島です。
バリ島が、独自の雰囲気を醸し出しているのは、インドネシアで唯一のヒンドゥ教の島である為です。バリ人達の生活は、伝統的なスタイルを維持し、毎日神々を敬うことを忘れません。
ヒンドゥ教と比べ、バリ・ヒンドゥ教の大きな特徴は、3大神であるシヴァ神、ヴィシュヌ神、ブラフマ神の上にサンヒャン・ウィディ(Sang Hyang
Widi)という最高神が存在することです。
バリ島には西暦の他に、ウク歴とサカ歴という、バリ・ヒンドゥ教独自の暦を用いています。
ウク歴は35日を1ヶ月とし、6ヶ月(210日)で1年としています。寺院の創立記念日のオダラン、日本のお盆、お彼岸にあたるガルンガン、クニンガンというお祭りは、この周期で行われています。
サカ暦は陰暦のため、29〜30日を1ヶ月としています。バリ・ヒンドゥ教の新年にあたる“ニュピ”は、サカ暦を用いています。前日はオゴオゴというハリボテを乗せたお御輿を担ぎ、ニュピ当日は、仕事、食事、外出の禁止、火や電気の使用を禁じ、家で静かに瞑想して過ごす日になっています。
バリ島の歴史は古く、紀元前3世紀頃に、金属器を使ったドンソン文化の影響を受けています。9世紀後半よりインド文化が波及し、そのころから独自の文化が栄え始めたそうです。
13世紀頃より、ジャワ島のマジャパイト王朝が力を強め、16世紀にはその影響下で、バリ島、クルンクンの南にゲルゲル王朝が作られました。
更に18世紀頃、現在の8つの行政区にあたる地方で権力者が現れ、バリ島は8つの王国に分裂していきます。
19世紀初頭、すでにジャカルタを統治していたオランダがバリ島にも進出してきました。シガラジャを起点に制圧を開始し、最後は南部のクルンクン王朝も滅ぼされ、バリ島全土はオランダの支配下に置かれました。
先進国の影響により、素朴な生活や風習は変化していきましたが、1920年から欧米ではバリ島がブームになり、多くの外国人芸術家が訪れるようになりました。芸術家達は、バリ島の芸能や芸術に大きな影響を及ぼし、現在のバリ島の文化を魅力的なものとし、観光化を促進しました。
第二次世界大戦後、インドネシアは独立し、バリ島もインドネシア共和国の一つの州となりました。